最近の若者がいなくなったのは世界の時間が加速しているから

「最近の若者は~」

 

っていうお決まりのフレーズ、


最近ぜんぜん聞かなくなりましたよね?

 

ひょっとして自分だけ?

 

っていうパターンかも知れませんが、
実際ホントに耳にすることがなくなりました。

 

 

これが何を意味しているかというと、


時間の流れが加速しているということなんです。

 

 

風が吹けば桶屋が儲かる、みたいなもんで、


途中をすっ飛ばしているのでなにがなんだか


よくわからないですよね?

 

別に自分だけがよくわかっているというつもりもないのですが、


なんとなく見えるような気がする景色はあります。

 

どういうことかといえば、こんな感じ。

 

かつてあった昭和という時代、


晦日の紅白の視聴率が80%をこえていたりしたといいます。

 

 

これはすごいことですよ。

 

なにしろ日本全国津々浦々の老若男女全員、


赤ん坊からお年寄りまですべてひっくるめた「日本人」の80%ですから。

 

 

当時は出生率もいまより高くて、第二次ベビーブームなんていう現象もあり、


赤ちゃんがたくさんいたりしたので、


いまでいう90%ぐらいと考えていいと思ってます。

 

 

つまりほとんどみんな見ている、ということですよ。


見てないほうが変人扱いされかねないレベルです。

 

 

紅白をみていることが常識で、


だから紅白で誰が何という曲をうたったかもみんな当然知っていることで、


ということは、紅白で誰かがした発言も一夜でみんなの共通意識になるのです。

 

 

もちろんこういったことは紅白だけでありません。


そのころメディアの王様だったテレビ全般に対していえることです。

 

・学校ではいつも昨夜のテレビ番組が話題の中心


・テレビを見ていないと友だちの話にもついていけない


・というか同じ前提をもっていないあいつはもう友だちではない

 


と思われるわけにはいかないから必死で見逃さないように頑張る、


という日常が繰り広げられていたのです。

 

すさまじい同調圧力

 


テレビは最高のエンタテインメントであると同時に


最高の意識共有装置だったわけですね。

 

これだけみんなが同じことを考えて同じ意識のつもりで生活している社会だと、


自分の意識とみんなの意識が完全に同じ意識だと思いこんでいます。

 

 

自分の常識と違う人を見かけると


それだけでもうその人は変わり者と同じような扱いされることになります。

 

 

そういう状況の中で大人の常識と違う行動をとる集団として若者が出現すると、


誰か一人を捕まえて、あいつは変わり者だ、とすることができないので、


しかたなく、そういう一団に属する人である、と決めつけます。

 

 

自分の常識を疑わずに済むようにする魔法の言葉が「最近の若者は……」 なのです。

 

 

ところが最近は、メディアの王様としてあがめられているものが、


個人こじんによって違うので、皆が同じ意識を共有するということが難しい時代になっていた、


またいろんな分野がそれぞれに独自の方向に進歩していくので、


ある分野で常識であることもすぐ隣の分野の人は全く知らないということが普通に起こります。

 

そしてそれぞれの分野がものすごいスピードで進歩していくので、


今まで知らなかった分野を初めて知るときはいつも

 

ついていけない状況になるわけです。

 

 

つまり一つひとつの分野がそれぞれ独自の時間を持っているということと同じことになり、


しかし人間は一度に一つの分野にしか当たることができないので、

 

・ある分野に当たったときにその分野が自分の時間よりも先に入っているように感じられる

・それがどの分野に当たったときでも起こっている

 


だから世の中の時間が加速しているように感じられる、というわけですね。

 

知らなかったことを初めて知るときについていけないというのは、


今ではごく当たり前の日常なので、若者の行動を見てついていけないと思うのも


当たり前のこととなり、もはや特に自分をごまかす必要もありません。

 

 

「最近の若者はこれだから……」

 

などとつぶやく必要もなくなっているということですね。